2020年の診療報酬改定によって総合体制加算の要件が見直され、特定看護師を複数名設置することが施設基準の一つとして盛り込まれました。なぜこのような改定が行われたのかが気になる人もいるでしょう。
特定看護師の設置が施設基準に盛り込まれたのはタスク・シフティングを実現するためです。目的は医師が従来担っていたタスクを特定の研修を受けてスキルや知識を身につけた看護師にシフトすることにより、医療の質を損なうことなく医師の業務負担を軽減することとされています。医師の過重労働が問題となっているため、働き方改革を推進できるようにするための後押しをする制度改革となっているのがこの変更点です。
この診療報酬改定は看護師にとっても働き方を大きくシフトする機会になっています。医療への貢献の仕方として医師の診療補助や患者の看護に特化するのが看護師としては常識でした。しかし、養成機関で研修を受けるだけで特定の診療については看護師が自分の判断で行えるようになります。患者の身近にいる存在として、患者の容態を見たときにすぐにでも対応すべきと思ったら即座に治療できるというのは強みになるでしょう。
一方で、その責任を負いたくないという考え方もあります。どちらの立場になりたいかを特定看護師になるかならないかで決めることが可能です。診療報酬改定を受けて、これから先、どのようにして医療に貢献していきたいかを自分なりに考えてみるのが大切です。